靴のオーダーメイドを決めてからは靴のことばかり考えるようになり、気づけばデパートの靴売り場ばかり見るようになっていた、恵比寿OLのシュー子です。
フルオーダーメイドの靴作りは、Vol.1に書いたように足の形を測定してもらうところから始まります。そのとき、靴職人さんにここぞとばかりに靴に関する質問をしたり、自分の足の特性について教えてもらったりするのですが、うまく話せる自信がなかったのでわたしは自分の靴を5足持って行き、それを見ながら問診していただきました。
「一番履くスニーカー/デザインは好きだが痛くて結局履いていないバレエシューズ/10年くらいメンテナンスして履いている革靴/ぺったんこなのにパカパカして歩きづらいスリッポン/脱げやすい冠婚葬祭用の3cmヒール」etc.
靴職人さんはふむふむと実に楽しそうに聞いてくれましたが、こちらは話せば話すほど、「結局ほとんど捨てるしかない靴じゃないか」とか「明るいところで改めて見ると汚れが目立つ、恥ずかしい」などと思い、“穴があったら入りたい状態” になっていたのでした。
そして木型を作っていただく間に、「どんなデザインがいいか考える」という宿題が出ました。「デザイン」なんて言われるとドキドキしますが、要は自分の足の形に合う木型を作ってもらい、それをどんな【色、素材、形】にしたいかという好みを伝える、ということです。雑誌の切り抜きなどを参考にしながら「この色で、素材はこれがいいような」という感じに言えばいいわけです。
(※「こんなデザインの靴がほしい」というのを先に決めてから足の計測をされる方もいると思いますが、わたしの場合は先に問診を受けました)。
でも、そういう楽しい作業をする前に、わたしにはしなければならないことがありました……靴の断捨離です。ダイナスさんからの帰り道、紙袋の中に入った靴を見て、ため息が漏れました。「この袋ごと捨てるほうがいいんじゃないか?」と思う一方で「いや、でもまだ履くかもしれないし、これだって消去法でどうにか見つけた靴じゃないか」とか「痛くても捨ててないのは高いからであって……そう、高かったんだよ!」とか、もう本当に堂々巡り。
それからモヤモヤした状態でデパートに行ったり、久しぶりにファッション誌を買ったりしているうちに、もはや引け目を感じるようになってきたわけです。メンテナンスし続けて10年以上履いてきた革靴とか、もはやデザインが古いんですよ! 痛くて履けないから数年履いてない素敵なデザインの靴ももはや古くて、もう二度と履かないんですよ!
そう、わたしは最近の素敵な靴を続けて見るうちに、自分の靴箱を冷静に見られるようになったのでした。
そして頭に浮かんできたのは(Vol.2でも登場した)TKさんの、「すごいよ、これ。俺の足にぴったりなの」というウキウキした声と、キラキラした群青色の靴でした。
靴であんなに嬉しそうになれるって、いったいどんなにすごいんだよ(早く履きたい)という気持ちと、自分の “そう好きでもないのに履いている靴” の多さにくらくらして、見切りをつけて、断捨離したのです!
捨てた靴の数は怖くて数えられなかったけど、
残ったのは、驚きの7足!!!
夏のサンダルが2足、冠婚葬祭用が2足、スニーカー、ブーツ、長靴、これでおしまい。もはやオーダーメイドの靴ができる前に他の靴を買わないといけない事態です。
でも、なんて言うんでしょう、“捨ててスッキリ” というよりは、“今までなんであったんだろう” というような気持ちのほうが大きかったというか。
ようやくこれでデザインについて考えられるよ……嬉しい(涙)。
to be continue.